超指数関数 (hyperexponential function) は Fernández-Duque–Joosten[1] で与えられた順序数上の関数であり、ヴェブレン関数と部分的に一致する。

定義

指数関数 \(\mathrm{e}\colon\mathrm{On}\to\mathrm{On}\) を \begin{eqnarray*} \mathrm{e}(\xi)&:= & \left\{\begin{array}{ll}-1+\omega^\xi & (\xi = 0) \\ \omega^\xi & (\text{otherwise})\end{array}\right. \end{eqnarray*}

と定める。この指数関数の定義の利点は \(\mathrm{e}\) は普通の \(\omega\)-冪と異なり、順序数の順序構造から誘導される圏 (すなわち \(\alpha\leq\beta\) であるとき射 \(\alpha\to\beta\) がただ一つ存在すると定める) に於いて左随伴を持つことである。すなわち \(g(\alpha)\leq\beta \Leftrightarrow \alpha\leq \mathrm{e}(\beta)\) を満たす (正規ではない) 関数 \(g\) が存在する (一般に正規関数 \(f\) が左随伴を持つことは \(f(0)=0\) が必要かつ十分である。従って \(\omega\)-冪は \(\omega^0=1\) であるが故に左随伴を持たない) 。特に左対数関数と終対数関数が重要な例となる。

超指数関数は \(\mathrm{e}^{-}({-})\colon\mathrm{On}^2\to\mathrm{On}\) は以下を満たす関数である。

  1. \(\mathrm{e}^0=\mathrm{id}_{\mathrm{On}}\) 。
  2. \(\mathrm{e}^1=\mathrm{e}\) 。
  3. 任意の順序数 \(\alpha,\beta\) に対し \(\mathrm{e}^{\alpha+\beta}=\mathrm{e}^\alpha\circ\mathrm{e}^\beta\) 。
  4. 2,3を満たす任意の関数列 \(\langle f^\xi\mid\xi\in\mathrm{On}\rangle\) 、任意の順序数 \(\alpha,\beta\) に対し \(\mathrm{e}^\alpha(\beta)\leq f^\alpha(\beta)\) となる。

超指数関数は指数関数の hyperation (和訳募集) であり、超指数関数の定義が well-defined 、すなわち上記を満たす関数が一意に存在することを Fernández-Duque–Joosten[1] は示した。超指数関数は hyperation であるから要素毎に左随伴となる cohyperation が存在する。すなわち各順序数 \(\alpha\) な対して \(\mathrm{e}^\alpha\) の左随伴が存在する。

超指数関数は以下のように超限再帰によって定義することもできる。

  1. \(\mathrm{e}^0:=\mathrm{id}_{\mathrm{On}}\) 。
  2. \(\mathrm{e}^1:=\mathrm{e}\) 。
  3. \(\zeta\in\mathrm{On},\xi\in(0,\omega^\zeta+\xi]\) に対して \(\mathrm{e}^{\omega^\zeta+\xi}:=\mathrm{e}^{\omega^\rho}\circ\mathrm{e}^\xi\) 。
  4. \(\zeta>0\) に対して \(\mathrm{e}^{\omega^\zeta}(0):=\sup\{\mathrm{e}^\eta(0)\mid\eta<\omega^\zeta\}\) 。
  5. \(\zeta>0,\xi\in\mathrm{On}\) に対して \(\mathrm{e}^{\omega^\zeta}(\xi+1):=\sup\{\mathrm{e}^\eta(\mathrm{e}^{\omega^\zeta}(\xi)+1)\mid\eta<\omega^\xi\}\) 。
  6. \(\zeta>0,\xi\in\mathrm{Lim}\) に対して \(\mathrm{e}^{\omega^\zeta}(\xi):=\sup\{\mathrm{e}^{\omega^\zeta}(\eta)\mid\eta<\xi\}\) 。


基本的性質

任意の順序数 \(\alpha,\beta\) に対して以下が成り立つ。ただし \(\varphi_{-}({-})\) をヴェブレン関数とする。

  1. \(\mathrm{e}^\alpha(0)=0\) 。
  2. \(\mathrm{e}^1(1+\beta)=\varphi_0(1+\beta)\) 。
  3. \(\mathrm{e}^{\omega^{1+\alpha}}(1+\beta)=\varphi_{1+\alpha}(\beta)\) 。

また特に \(\xi\mapsto\mathrm{e}^{\xi}(1)\) は正規関数であり、最小不動点はフェファーマン・シュッテの順序数 \(\Gamma_0\) となる。

超指数標準形

超指数関数を用いることで以下のような非零な順序数の標準系を与えることができる。表現

  • \(\begin{align}\xi=\sum_{i< k+1}\mathrm{e}^{\alpha_i}(\beta_i)+n\end{align}\)

弱超指数標準系 (weak hyperexponential normal form) であるとは、\(k,n<\omega\) であり、任意の \(i<k+1\) に対して \(\beta_i<\mathrm{e}^{\alpha_i}(\beta_i)\) であり、かつ任意の \(j<k\) に対して \(\mathrm{e}^{\alpha_{j+1}}(\beta_{j+1})\leq \mathrm{e}^{\alpha_j}(\beta_j)\) が成り立つことである。また弱超指数標準系が超指数標準系 (hyperexponential normal form, HNF) であるとは任意の \(i<k+1\) に対して \(\beta_i\) が \(1\) であるか、あるいは加法的分解可能、すなわちAPでないことである。

任意の非零な順序数に対して超指数標準系は一意に存在する。

応用

超指数関数を用いることで \(\Gamma_0\) までの順序数表記を与えることができ、ブラケット原理などの順序数割当に用いられる。

出典

  1. 1.0 1.1 D. Fernández-Duque, J. Joosten, Hyperations, Veblen progressions and transfinite iteration ofordinal functions, Annals of Pure and Applied Logic 164, 7, 8, 785–801, 2013.


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