宇宙論の巨大数では、宇宙論で使われる巨大数を小さい数から大きい数へ順番にまとめる。なお、単位間の大きさの違いが無視できるほど小さいスケールの場合には単位を省略する。

観測可能な宇宙に存在する恒星の総数

\(2 \times 10^{23}\)

いわゆる「星の数ほど」の答え。この内、人類が観測した恒星の数は高々4800万個に過ぎないと推定されている[1][2]

プランク温度

\(1T\text{p} = \frac{m_\text{p} c^{2}}{k} = \sqrt{\frac{\hbar c^{5}}{Gk^{2}}} = 1.416785(16) \times 10^{32}\text{K}\)[3]

SI単位であらわした場合、唯一1以上の値を有する基本プランク単位。1プランク温度の温度で黒体放射の波長は1プランク長さに等しくなる為、1プランク温度以上の温度は量子重力理論が完成しない限り記述が不可能となる。ビッグバン理論に基づけば、ビッグバンより1プランク時間経過した時の宇宙の温度は1プランク温度に等しい。

大数仮説

\(\approx 10^{40}\)

物理定数から求められる無次元数に多く現れる、と主張された値。詳しくはリンク先を参照。

フォエ

\(1\text{foe}=10^{51}\text{erg}=10^{44}\text{J}=5.1\times10^{34}E_{\text{P}}=6.2\times10^{62}\text{eV}\)

超新星爆発1回分のエネルギーとして定義された単位。厳密にはニュートリノの形で放出される99%を除いた分である[4]。名前の由来はそのエネルギー値が\(10^{51}\)エルグに等しい事から "fifty-one ergs" の頭文字である[5]

ヘルクレス座・かんむり座グレートウォールの長半径

\(5.9\times10^{60}l_{\text{P}}=1.0\times10^{10}\text{ly}=9.5\times10^{26}\text{m}\)

宇宙に存在する既知で最大の構造物[6]

観測可能な宇宙の質量

\(6.9\times10^{60}m_{\text{P}}=1.5\times10^{53}\text{kg}\)[7]

宇宙の年齢

\(8.08\times10^{60}t_{\text{P}}=4.36\times10^{17}秒=(1.3799\pm0.0021)\times10^{10}年\)[8]

観測可能な宇宙の大きさ

\(5.4\times10^{61}l_{\text{P}}=9.3\times10^{10}\text{ly}=8.8\times10^{26}\text{m}\)[9]

太陽系を離脱する探査機が別の天体に衝突するまでの時間

\(10^{70}t_{\text{P}}\approx10^{27}秒\approx10^{20}年\)

パイオニア10号、パイオニア11号、ボイジャー1号、ボイジャー2号のいずれかが天体又は天体の残骸と衝突するタイムスケール[10]

エディントン数

\(N_\text{Edd} = 136 \cdot 2^{256} \approx 1.575 \times 10^{79} \\ = 15747724136275002577605653961181555468044717914527116709366231425076185631031296\)

観測可能な宇宙に存在する陽子の総数として推定された値。詳しくはリンク先を参照。

観測可能な宇宙に存在する素粒子の総数

\(10^{97}\)

暗黒物質及び暗黒エネルギーは含まない[11]

プランク放射強度

\(1.38893 \times 10^{122}\text{W/m}^{2}\)

派生プランク単位を含め、全てのプランク単位系において最も大きな指数部を持つ単位。

TON 618が蒸発するまでの時間

\(3.52\times10^{150}t_{\text{P}}=1.90\times10^{107}秒=6.03\times10^{99}年\)

TON 618はクエーサーであり、その中心部にはこれまでで知られている最大の超大質量ブラックホールが存在するとされている[12]。この\(6.6\times10^{10}M_{\text{Sun}}=1.3\times10^{41}\text{kg}\)のブラックホールがホーキング放射により蒸発するまでの時間\(\frac{5120\pi G^{2} M^{3}}{\hbar c^{4}}\)が上記となる。

観測可能な宇宙の体積

\(8.5\times10^{185}l^{3}_{\text{P}}=3.6\times10^{80}\text{m}^{3}\)

真空の固有状態の推定総数

\(10^{500}\)[13]

全ての物質が鉄56に壊変するまでの時間

\(10^{1500}\)

陽子崩壊が起こらない場合、全ての原子核はトンネル効果により核融合反応、α崩壊、自発核分裂のいずれかを通じて別の原子核に変換され、最終的には核子当たりの質量が最も小さい56Fe原子核へと壊変すると推定される。この場合、核子で構成された全ての物質が56Feに変換されるまでの平均時間がこの程度と推定されている。この程度の時間で存在する、56Feのみで構成された恒星質量天体を鉄星 (Iron star) と呼ぶ[14]

マグニチュード214748364.7の地震のエネルギー

\(10^{322122551.85}\text{J}=10^{4.8+1.5\times214748364.7}\text{J}=\text{M}214748364.7\)

気象庁では、一般向けに放送される緊急地震速報 (警報) が発表された場合、その内容が公表される。日本時間2009年8月25日6時37分頃に発生した地震では地震計のエラーにより誤った緊急地震速報が放送されていた[15]。発表直後の2009年8月27日アーカイブでは特に異常はないものの[16]、それから2011年8月8日までのいずれかの時点で、1か所の推定マグニチュードが214748364.7という値に変化していた[17]。2014年4月1日まではこのまま残されており[18]、2014年4月29日までのいずれかの時点でこれは修正されている[19]。誤って\(\frac{2^{31}-1}{10}\)の値が入力されたと推察される。

熱力学的に自発的に生命が誕生する宇宙の大きさ

\(2^{75250000000} \approx 10^{22650000000}\)

細菌を構成するのに必要な粒子数75250000000個が偶然に集まり、細菌が発生する可能性がある宇宙の最低体積の熱力学的な推定[20]

全ての物質がブラックホールに崩壊する時間

\(10^{10^{26}} - 10^{10^{76}}\)

陽子崩壊が起こらない場合、全ての粒子はトンネル効果により、偶然にブラックホールに崩壊する可能性がある。中性子星に崩壊する場合があるが、いずれにしても続いてブラックホールに崩壊しうる為、結果は同じとなる。それにかかる時間は\(10^{10^{26}}\)から\(10^{10^{76}}\)と推定されている[21]

自分自身のコピーに出会うまでの距離

\(10^{10^{29}}\)

宇宙が無限である場合、確率論的には自分自身と全く同じ原子配列の物体に出会う可能性があり、その平均距離がこの値である。これはヒト1人に含まれる陽子、中性子、電子の総数\(6.32\times10^{28}\)に依存している数値である。[20]

白色矮星の価値

\(10^{10^{34}}\)

“宇宙の人”ことエビフライ[22]によって、半ば冗談で算出された数である[23]。彼は市場に出回っているダイヤモンドの値段をざっくりと調べ、xカラットにつき3000000×4x-1円という関係性を見出した。一方白色矮星は炭素でできており、ダイヤモンドに似た物質で構成されていると言われていることから、これを一個の巨大なダイヤモンドと見なすと1034 (100) カラット程度となり、その価値を計算することができる。それが上記の値である。

ネズミが太陽の表面で1週間生存する試行時間

\(10^{10^{42}}\)

ブラウン運動や不確定性原理により、太陽表面に存在するマウスの周辺の粒子運動が、マウスの生存に適した環境となる必要な試行時間の程度がこれになる。

量子揺らぎでボルツマン脳が生成する平均時間

\(10^{10^{50}}\)[24]

ホーキング放射の核生成でボルツマン脳が生成する平均時間

\(10^{10^{69}}\)[24]

宇宙を実質一周する距離

\(10^{10^{115}}\)

宇宙が無限である場合、確率論的には私たちの観測可能な宇宙と全く同じ粒子配列の宇宙に遭遇する可能性があり、その場合は宇宙を一周したとみなせる。その平均移動距離がこの値となる[25]

初期宇宙の特異点の場合数

\(> 10^{10^{123}}\)

ロジャー・ペンローズは、特異点定理とベッケンシュタイン・ホーキングの公式に基づき、1080個 (エディントン数) のバリオンがブラックホールに崩壊する際のエントロピーを10123オーダーと計算。その数値に基づき、初期宇宙の特異点の場合数を算出した。なお、宇宙は実際には膨張している為、この値は下限値である。また、これの逆数をとれば、特異点が現在の宇宙と全く同じ宇宙に発展する確率となる[26]

プロマキシマ

\(10^{10^{245}}\)

観測可能な宇宙が取りうる全ての状態の数としてSbiis Saibianによって算出された[27]。宇宙に存在する全ての超ひもの数を求め (その個数は前述の宇宙をプランク体積で表した数に匹敵すると仮定) 、それを全て並べ替える場合の数を算出、さらに時間の要素も勘案し、上記の値を得たとされる。

代替宇宙数

\(10^{5.7 \times 10^{410}}\)

宇宙の全ての粒子が宇宙の誕生以来完全にランダムに運動した場合、あり得る宇宙の総数として提示された値。あり得た "我々の宇宙" の総数[28]

インフレーション因子

\(e^{e^{10^{13}}} \approx 10^{1.55 \times 10^{4342944819032}}\)

T. Padmanabhanによって推定された、インフレーション宇宙論におけるインフレーション因子の値。宇宙定数が10-8に等しいという仮定の下算出されている[29]

多元宇宙論に存在しうる全ての平行宇宙の数

\(10^{10^{10^{16}}}\)

ただし、観測者の要因 (例えば人間の脳のビット場合数) により、この数は制約を受ける可能性に言及されている[30]

新たな宇宙が真空より生成されるまでの平均時間

\(10^{10^{10^{56}}}\)

トンネル効果や量子揺らぎによって、真空から偶然に初期宇宙に匹敵するエネルギー密度が生成される可能性があり、それが起こる平均時間[31]。宇宙の熱的死が起きた場合、事実上発生する宇宙を変化させるイベントはこれのみとなる。

実際の宇宙の大きさ

\(10^{10^{10^{122}}}\)

インフレーション後の宇宙の実際の大きさに関する、無境界仮説に基づくレオナルド・サスキンドによる解[32]

宇宙論で使われた最大の数

\(10^{10^{1.51 \times 10^{3883775501690}}} = 10^{10^{10^{10^{10^{1.1}}}}}\)

最も長い時間考察であり、リンデの確率過程的インフレーションという説で生まれるかもしれないあらゆる多重宇宙の全質量を1個のブラックホールに潰して適当な箱の中に入れた、と仮定したときにブラックホールの蒸発後にまたブラックホールができるまでのポアンカレ時間をPage (1994)[33]が計算したもの。10-6プランク質量のインフラトンを仮定している。

出典

  1. How Many Stars are There in the Universe?
  2. How Many Stars Are In The Universe?
  3. CODATA Value: Planck temperature
  4. Dieter H. Hartmann. (1999) "Afterglows from the largest explosions in the universe." "Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America". 96 (9), 4752–5
  5. Marc Herant, Stirling A. Colgate, Willy Benz & Chris Fryer. (Oct 25, 1997) "Neutrinos and Supernovae". Los Alamos Sciences.
  6. I. Horvath, J. Hakkila, Z. Bagoly. (2013) "The largest structure of the Universe, defined by Gamma-Ray Bursts." 7th Huntsville Gamma-Ray Burst Symposium, GRB 2013: Paper 33 in EConf Proceedings C1304143. 1311, 1104.
  7. Paul Davies. (2006) "The Goldilocks Enigma. First Mariner Books." pp. 43–. ISBN 978-0-618-59226-5.
  8. Planck Collaboration: P. A. R. Ade, et.al. (2015) "Planck 2015 results. XIII. Cosmological parameters." Cosmology and Nongalactic Astrophysics.
  9. Itzhak Bars & John Terning. (November 2009) "Extra Dimensions in Space and Time. Springer." pp. 27–. ISBN 978-0-387-77637-8.
  10. Coryn A.L. Bailer-Jones & Davide Farnocchia. (2019) "Future stellar flybys of the Voyager and Pioneer spacecraft." Research Notes of the American Astronomical Society, 3, 59.
  11. Notable Properties of Specific Numbers
  12. O. Shemmer, H. Netzer, R. Maiolino, E. Oliva, S. Croom, E. Corbett & L. di Fabrizio. (2004) "Near-Infrared Spectroscopy of High-Redshift Active Galactic Nuclei. I. A Metallicity-Accretion Rate Relationship." The Astrophysical Journal. 614 (2), 547–557.
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  23. 世界最大のホワイトダイヤモンド「カリナンI」の価値を計算してみた
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