加算は基本的な二項演算で、 \(a + b\) と書く。非形式的には \(a\) 個の物に\(b\) 個の物を加えた後の量と定義される。形式的には、有限の実数と基数において(順序数は除く)、2つの交わりを持たない集合があり、それぞれの濃度が \(a\) と \(b\) であるときに、それらの集合の和集合の濃度を意味する。\(a + b\) は和と呼ばれる。
自然数では、加算は後者関数 \(S(n)\) によって次のように再帰的に定義される。
\begin{eqnarray*} a+0 & = & a \\ a+S(b) & = & S(a+b) \end{eqnarray*}
巨大数論における解釈では、これは最初の ハイパー演算子で, 他の全てのハイパー関数を作り出す元である。
加算は \(\mathbb{N}\) と \(\mathbb{R}\) において交換法則が成り立つ。すなわち \(a + b = b + a\) が全ての自然数あるいは実数 \(a\) と \(b\) で成り立つ。また結合法則が成り立つ。すなわち \((a + b) + c = a + (b + c)\)である。 \(a\)を \(b\) 回加算したものを乗算と呼ぶ。
しかし、加算は順序数においては交換法則が成り立たない。いかなる極限順序数 \(\alpha\) においても、\(1+\alpha = \alpha \neq \alpha+1\) である。
ゼロの加算は恒等関数となる。すなわち、 \(0 + n = n\) がすべての\(n\)で成り立つ。
他の記法による近似[]
記法 | 近似 |
---|---|
急増加関数 | \(f_0^m(n)\) (正確に一致) |
ハーディー階層 | \(H_{m}(n)\) (正確に一致) |
緩成長階層 | \(g_{\omega+m}(n)\) (正確に一致) |
算術の性質への依存[]
ZFC集合論では交換法則や結合法則のような加算の性質が成立する。しかしながら、ロビンソン算術では交換法則が成立するとは限らない。\(\forall x\forall y x + y = y + x\) という命題はロビンソン算術とは独立である。しかしながらロビンソン算術でも任意の数項\(\underline{n},\underline{m}\)に対し\(\underline{n}+\underline{m}=\underline{m}+\underline{n}\)が証明可能であることには注意すべきである[1]。
参考文献[]
- ↑ Hájek, Petr, and Pavel Pudlák. Metamathematics of first-order arithmetic. Vol. 3. Cambridge University Press, 2017.