ブーフホルツのψ関数[1] を拡張したψ関数はたくさん提案されています。

今回はこれらの拡張表記に対応する新しいヒドラ表記を考えました。

従来研究

ブーフホルツのヒドラ

Koteitan EBH 00 BH.jpg

Buchholz[6]ブーフホルツのψ関数 に対応するヒドラ表記としてブーフホルツのヒドラを作りました。

ブーフホルツのヒドラは、自然数あるいは \(\omega\) のラベルをもつルート付き有向木です。ブーフホルツのψ関数1つ1つがブーフホルツのヒドラのノード1つ1つに対応します。AからBに向かう辺は、A に対応する ψ が B に対応する ψ の中にあることを示します。ノードのラベルは、そのノードに対応するψの添え字を示します。

ヒドヒド

Koteitan EBH 01 HydHyd.jpg

みかづきも[7]は、ペア数列システムを拡張したヒドラ表記ヒドヒドを作りました。ヒドヒドはラベルにヒドヒドそのものを許したルート付き有向木の形をしており、(\psi_0(\Omega_\Omega)\) までの大きさの順序数を表現できると考えられています.

提案するヒドラ表記

拡張ブーフホルツのヒドラ

ヒドヒドペア数列システムに対応することと、非可算順序数に対応するラベルを使わないという特徴がありますが、ψ の添え字をそのノードのラベルのヒドラと対応させることで、ヒドヒドのヒドラ表記そのままで拡張ブーフホルツのψ関数に対応させることができます。

ここではさらにこの図を見やすくする工夫を入れます。

Koteitan EBH 1 EBH.png
  • まず、ヒドヒドのヒドラ表記のヒドラを囲っている \(\bigcirc\) 印を、中のヒドラのルートノードだけを囲う様に小さく書き、中のヒドラのルートノード以外のノードをこの \(\bigcirc\) 印の外に出します。
  • すると、子ノード A から \(\bigcirc\) 印に辺が付いているときは、A の ψ が \(\bigcirc\) 印の ψ の中の丸括弧 ( ) の中にあることを示します(\(\circ=\psi_\beta(A)\) という感じ)。また、それではなく、子ノード A から \(\bigcirc\) 内のルートノード \(\times\) に辺が付いているときは、A の ψ は \(\bigcirc\) のノードの ψ の添え字であることを示します。((\circ=\psi_A(\alpha)\)という感じ。)
  • ノード A に向かって伸びているノードは、A よりも1単位上に書きます。
  • \(bigcirc\) へ伸びる辺を持つ子ノードは \(\times\) へ伸びる辺を持つ子ノードよりも左に書きます。
  • 同じ \(bigcirc\) へ伸びる辺を持つ子ノード同士、または、同じ\(\times\) へ伸びる辺を持つ子ノード同士は、大きなノードほどより左に書くようにします。(ヒドラ同士の大きさの順序は元の ψ の大きさの順序に対応するとします)

こうすることで、使っているψの数が数えやすくなったり、大小比較がなんとなく簡単にできたり、対応する階差数列が簡単に作れたりします。

この拡張ブーフホルツのψ関数に対応するヒドラ表記を拡張ブーフホルツヒドラと名付けてみます。

3変数ブーフホルツのヒドラ

3変数 ψ(くまくま3変数 ψ) は \(\psi_\alpha(\beta, \gamma)\) の形をした表記であり、\(\psi_0(\Omega_{\Omega_{\cdots_\Omega}})\) の大きさがあると考えられています。

Koteitan EBH 2 3VEBH.png

3変数 ψ に対応するヒドラ表記は、その辺がどの変数であるかを示す必要があります。 拡張ブーフホルツのψ関数は、\(\psi_\beta(\alpha)\) と \(\alpha\) と \(\beta\) の2種類の変数それぞれが \(\bigcirc\), \(\times\) のどちらから伸びているかに対応していました。3変数 ψでは、これを \(\bigtriangleup\), \(\times\), \(\circ\) の3種類にします。

  • A の ψ が B の ψ の添え字にある場合には、子ノード A から親ノード B に \(\bigtriangleup\) 辺を付けます。
  • A の ψ が B の ψ の丸括弧の左の変数の式にある場合には、子ノード A から親ノード B に \(\times\) 辺を付けます。
  • A の ψ が B の ψ の丸括弧の右の変数の式にある場合には、子ノード A から親ノード B に \(\bigcirc\) 辺を付けます。
  • 同じ親ノードに辺を向けている複数の子ノードは、\(\bigtriangleup\) 辺を持つ子ノードを\(\times\) 辺を持つノードよりも左に書きます。
  • 同じ親ノードに辺を向けている複数の子ノードは、\(\times\) 辺を持つ子ノードを\(\bigcirc\) 辺を持つノードよりも左に書きます。
  • 同じ親ノードに辺を向けている同じ辺の種類を持つ複数の子ノードは、大きさが大きいほど左に書きます。(ヒドラ同士の大きさの順序は元の ψ の大きさの順序に対応するとします)

この3変数 ψ に対応するヒドラ表記を3変数ブーフホルツヒドラと名付けます。

多変数ブーフホルツヒドラ

多変数 ψ は可変有限個の変数をもつ関数で、\(\psi(a_k, a_{k-1},\cdots, a_3, a_2, a_1)\) という形をしています.

Koteitan EBH 3 MVEBH.png

多変数 ψ に対応するヒドラ表記は、その子ノードのψが親ノードのψのどの変数であるかを示す必要があります。

そこで、次のようにして作った 多変数 ψ に対応するヒドラ表記を多変数ブーフホルツヒドラと名付けます。

  • 子ノード A の ψ が親ノード B の ψ の k 番目の引数にある場合は、子ノード A から親ノード B に向かって辺を伸ばし、子ノード A のラベルに自然数 k のラベルを付け、親ノードの1単位上に書きます。
  • 同じ親ノードに辺を向けている複数の子ノードは、ラベルが大きいほど左に書きます。
  • 同じ親ノードに辺を向けている同じラベルを持つ子ノードは、大きさが大きいほど左に書きます。(ヒドラ同士の大きさの順序は元の ψ の大きさの順序に対応するとします)

超限変数ブーフホルツヒドラ

超限変数 ψ は2行多列の引数を持つ関数です。上の引数は非零の値、下の引数はその値のアドレスに対応します。

Koteitan EBH 4 TVEBH.jpg

これをヒドラ化するには2タイプのセパレーター "|", "||" を使います。"|"(シングルセパレーター)は値とアドレスとの境界を示します。

  • 親ノードへ伸びている子ノードのうち、左から k-1 個目の "||" よりも右にあり、その右にある最初 "|" よりも左にあるもの同志は、 + で加算されて k 列目の値となります。
  • 親ノードへ伸びている子ノードのうち、左から k-1 個目の "||" よりも右にあり、その右にある最初 "|" よりも右にあるもの同志は、 + で加算されて k 列目のアドレスとなります。

この超限変数 ψ に対応するヒドラ表記を超限変数ブーフホルツヒドラと名付けます。

References

  1. W. Buchholz, "A New System of Proof-Theoretic Ordinal Functions", Annals of Pure and Applied Logic, vol. 32 (1986), pp. 195--207.
  2. Maksudov, Denis. "The extended Wilfried Buchholz's functions", Traveling To The Infinity. Retrieved 2017-05-18.
  3. Kanrokoti, "くまくま3変数ψ", 巨大数研究 Wiki ユーザーブログ, 2020.
  4. Mitsuki, "[[試作:くまくま(大嘘)多変数Ψ", 巨大数研究 Wiki ユーザーブログ, 2020.
  5. P進大好きbot, ”超限変数拡張ブーフホルツのψ関数", 巨大数研究 Wiki ユーザーブログ, 2020.
  6. W. Buchholz, "An independence result for (Π11 - CA) + BI", Ann. Pure Appl. Logic 33 (1987) pp.131--155.
  7. Mikadukim, "HydHyd", ツイッター, 2018.
特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC-BY-SA ライセンスの下で利用可能です。