プレックス (-plex) とは、巨大数を示すための接尾辞である。特に断りが無ければ、意味は数\(n\)に対する\(10^{n}\)を意味する[1]。
概要[]
プレックス自体の初出は、1920年に考案されたグーゴルプレックス (Googolplex、\(10^{10^{100}}\)) に遡るが[2]、接尾辞としての使用が提案されたのは1987年のことである。ルーディ・ラッカーが自著 "Mind tools : the five levels of mathematical reality" 内にて、-plexを-illionと同様の接尾辞のように使うことを提案し、\(10^{n}\)と定義した[1][3]。
現在では、基本的にプレックスの使用はラッカーの定義である\(10^{n}\)と同様の使われ方をしているが、必ずしもそうではない。例えばJonathan Bowersは、何らかの巨大数を表す関数\(f\)において\(f(10,100)\)という形で表される巨大数があった場合、\(f(10,n)\)を\(n-\text{plex}\)とした。このため、例えばギゴル (Giggol) \(=10\uparrow\uparrow100\)にプレックスを付けたギゴルプレックス (Giggolplex) は\(10\uparrow\uparrow\text{Giggol}\)であり、\(10^{\text{Giggol}}=10\uparrow\uparrow101\)ではない[4]。この数はギゴルネックス (Giggolunex) である[5]。あるいは、より緩く "何らかの巨大数" に対してプレックスを付ける者もいる。例えばThe Game Theoristsでは、『スーパーマリオメーカー』や『Minecraft』で登場する巨大数についてそれぞれマリオプレックス (Marioplex) [6]やマインクラフトプレックス (Minecraftplex) [7]と命名している。
Sbiis Saibianはこの問題を回避するため、Jonathan Bowersが使用したような\(10^{n}\)以外の似たような形式を持つ巨大数についてデックス (-dex) やスレックス (-threx) 、タクシス (-taxis) を定義した[8]。
プレックスの派生形接尾辞[]
Sbiis Saibian[]
例えばグーゴルプレックスのプレックスであるグーゴルプレックスプレックス (Googolplexplex、\(10^{10^{10^{100}}}\)) 、グーゴルプレックスプレックスのプレックスであるグーゴルプレックスプレックスプレックス (Googolplexplexplex、\(10^{10^{10^{10^{100}}}}\)) ……といくらでも長くできるが、Sbiis Saibianはこれをラテン語の倍数接頭辞に置き換えることで定義した。このためプレックスプレックスはデュプレックス (-duplex) 、プレックスプレックスプレックスはトリプレックス (-triplex) ……となる[8]。
値 | 英名 | 和名 | プレックス |
---|---|---|---|
\(10^{n}=(10\uparrow)^{1}n\) | -plex | プレックス | -plex |
\(10^{10^{n}}=(10\uparrow)^{2}n\) | -duplex | デュプレックス | -plexplex |
\(10^{10^{10^{n}}}=(10\uparrow)^{3}n\) | -triplex | トリプレックス | -plexplexplex |
\(10^{10^{10^{10^{n}}}}=(10\uparrow)^{4}n\) | -quadriplex | クァドリプレックス | -plexplexplexplex |
\(10^{10^{10^{10^{10^{n}}}}}=(10\uparrow)^{5}n\) | -quintiplex | クィンティプレックス | \(\vdots\) |
\((10\uparrow)^{6}n\) | -sextiplex | セクティプレックス | |
\((10\uparrow)^{7}n\) | -septiplex | セプティプレックス | |
\((10\uparrow)^{8}n\) | -octiplex | オクティプレックス | |
\((10\uparrow)^{9}n\) | -noniplex | ノニプレックス | |
\((10\uparrow)^{10}n\) | -deciplex | デシプレックス | |
\((10\uparrow)^{100}n\) | -centiplex | センチプレックス | |
\((10\uparrow)^{1000}n\) | -milliplex | ミリプレックス | |
\((10\uparrow)^{1000000}n\) | -millimilliplex | ミリミリプレックス |
ルーディ・ラッカー[]
ラッカーは自著内で、プレックスを接尾辞とする根拠を語る文脈で以下を命名している。ただし、これは実際の使用を意図しているのではなく、命名の根拠で語っているだけと考えられる。また、原著では省略されているものの、根拠が-illionと同様であることから、倍数接頭辞を使っていくらでも拡張可能であることが予想される[3]。
値 | 英名 | 和名 |
---|---|---|
\(10^{10}\) | Dekaplex (Billion) | デカプレックス (ビリオン) |
\(10^{100}\) | Hectoplex (Googol) | ヘクトプレックス (グーゴル) |
\(10^{10^{3}}\) | Kiloplex | キロプレックス |
\(10^{10^{6}}\) | Megaplex | メガプレックス |
\(10^{10^{9}}\) | Gigalplex | ギガプレックス |
\(10^{10^{12}}\) | Teraplex | テラプレックス |
\(10^{10^{100}}=10^{\text{Googol}}\) | Googoglplex (Hectoplexplex) | グーゴルプレックス (ヘクトプレックスプレックス) |
出典[]
- ↑ 1.0 1.1 Vincenzo Origlio & Eric W. Weisstein. "n-Plex". Wolfram MathWorld.
- ↑ Edward Kasner and James R. Newman. (1940) "Mathematics and the Imagination". Simon & Schuster.
- ↑ 3.0 3.1 Rudy Rucker. (1987) "Mind tools : the five levels of mathematical reality". Boston: Houghton Miffin.
- ↑ Jonathan Bowers. "Infinity Scrapers". Hedrondude's Home Page.
- ↑ Aarex Tiaokhiao. "Part 1 (LAN)". Aarex Googology. (Internet archive)
- ↑ The Game Theorists. "Super Mario Maker, BIGGER than the UNIVERSE!". YouTube.
- ↑ The Game Theorists. "Minecraft DECODED! How Many Diamonds Exist? | The SCIENCE... of Minecraft". YouTube.
- ↑ 8.0 8.1 Sbiis Saibian. "4.3.2 - Hyper-E Numbers". Large Numbers.